2022年6月16日木曜日

アジサシ、興味なし(?)、ビオトープ管理士

アイドル的存在となっていた旅鳥「クロハラアジサシ」と観察を楽しむ来園者様を
背に沈砂池でガサガサしておりました。
ビオトープ管理士です。

調査地:今田遊水地の沈砂池

※沈砂池(ちんさち、ちんしゃち)とは
水流で運ばれてくる土砂やゴミなどを取り除く機能をもつ箇所のこと。
境川が洪水などして運んできた土砂やゴミが堆積される訳です。

ガサガサはタモ網と体を使って水生生物を捕獲する簡単な手法の1つです。

さて
沈砂池は生きものにとってどんな環境なんでしょうか…

モツゴ(Pseudorasbora parva

1掬い目、「モツゴ」です。
「クチボソ」と呼ばれたりもします。

コイ(Cyprinus carpio

2掬い目、「コイ」です。

タモロコ( Gnathopogon elongatus

しばらくなにも掬えず、数十掬い目に「タモロコ」が入りました。

トンボの一種

「コシアキトンボ」「コフキトンボ」のヤゴでしょうか?
自身が無く、トンボの一種としました。

今田遊水地には
●樹木に囲まれている環境ではない
●抽水植物(ヨシ)がまとまった空間がある
の2点から
「コフキトンボ」が有力かなと思いましたが、「コシアキトンボ」も我が物顔で
飛んでおります。

背棘というヤゴの部位をしっかり見るべきでした。

稚魚、ヤゴの同定は未熟なもので
骨が折れそうでした。
もっと勉強します。

沈砂池は
大きな個体が入りにくく、「ヒシ」が水面を覆い水上からの目隠しになることから
幼く遊泳力の低い個体の避難所的な役割を担っていそうです。

※採取した個体は撮影記録しその場に放流しました。
※園内の動植物の採取は禁止となっております。
※ビオトープ内の立ち入りは禁止となっております。

2022年6月12日日曜日

クロハラアジサシ、熱いまなざし、ビオトープ管理士


こんにちは、ビオトープ管理士です。

6月2日(木)の夕方、今田遊水地の閉門作業中に
いつも違う飛び方をしている鳥を目にいました。

2022/6/2 夕方撮影

普段、夕方のビオトープ上空は
「ツバメ」「イワツバメ」「ヒメアマツバメ」の空中舞踏会となり
日が完全に落ちるころ「アブラコウモリ」の夜会に切り替わります。

撮影した鳥は日が落ちると共に下飯田遊水地方面へと消えました。
水上をひらひらと飛行、空中停止、浅めのダイビングなどの行動が見られ
この遊水地の鳥類相では、なかなか見ない行動に釘付けになりました。

この鳥は「クロハラアジサシ」といいます。
6月2日~6月8日の間、1羽が今田遊水地と下飯田遊水地を利用しているのを
確認しました。

クロハラアジサシ(Chlidonias hybrida) 2022/6/3撮影

「クロハラアジサシ」春は繁殖のため北へ秋は寒い冬に備え暖かい南へと渡ります。
日本はその渡りの中継地として利用されるため、国内でも観察できる機会があります。
こういう渡り方をする鳥を「旅鳥」と呼んだりします。

今回観察できた個体は繁殖地に向かう途中といったところでしょうか。

トンボや小魚を食べる行動も観察できました。
ご飯を食べてしばしの休息、境川遊水地はサービスエリア的な役割のようです。

夏羽(2022年6月)

冬羽(2021年10月)

「クロハラアジサシ」は去年の10月ごろにも確認されています。
換羽により容姿が異なっていますね。
この時は越冬地に向かう途中で境川遊水地に立ち寄った感じかと思います。

今年の秋ごろにもまた会えるでしょうか…

※ビオトープ内の立ち入りは禁止されています。
※動植物の採取は禁止されています。
※野鳥にエサを与えたり、物を投げたりしないでください。

2022年6月8日水曜日

抜き足、差し足、ビオトープ管理士

抜き足、差し足、忍び足…

間合いを詰めて網を振るのはビオトープ管理士です。

6月4日 午後 30分間程度
下飯田遊水地のビオトープでトンボ採取をしました。

トンボは種によって利用する環境に差があり
環境の変化に敏感な生きものたちです。

そのため
生息するトンボの種類を把握することは
ビオトープの水辺環境が生きものたちにとってどんな場所か
知る指標にもなります。

このような指標となる生きものを「環境指標種」と呼んだりもします。
「この生きものがいるということは、ここは大体こんな環境なんだな~」っていう
感じです。

では採取できたトンボを一部紹介させていただきます。

コフキトンボ(Deielia phaon) ♂

コフキトンボ」の雄です。
名前の通り、粉を吹いたような見た目ですね。
抽水植物が繁茂する開放的な水辺に生息する種です。

抽水植物:水底に根を張り、葉や茎が水上に出ている植物
水深の比較的浅い場所に生える。

アオモンイトトンボ(Ischnura senegalensis) ♂

アオモンイトトンボ(Ischnura senegalensis) ♀未成熟

お次は「アオモンイトトンボ」です。
雌雄ともに水辺周辺のイネ科の根元をふわふわと飛んでおりました。
開放的でやや水深のある水辺に生息する種です。

コシアキトンボ( Pseudothemis zonata ) ♂

こちらは「コシアキトンボ」の雄です。
水辺の岸で同じ場所を行ったり来たりしておりました。
周囲に樹林がある水辺を利用する種です。

下飯田にはヤナギ類がたくさん生えているためでしょうか…

今回、採取出来たトンボはこの3種だけでした…
(境川遊水地には16種のトンボが確認されています。)

この3種がいるということは

水深に変化がある
●周囲に樹木がまとまって生えつつ開放的

な水辺なんだな~と
簡単な想像が出来るわけです。

トンボを知って環境を知れるのは
お得な感じがしますね。

※採取後の個体は撮影、記録後に逃がしました。
※ビオトープ内の立ち入りは禁止されています。
※動植物の採取は禁止されています。

2022年6月4日土曜日

ひたむき、下向き、ビオトープ管理士その②

 こんにちわ、ビオトープ管理士です。

少し時間が空いてしまいましたが
前回の今田遊水地ビオトープの植物紹介の続きです。

カワヂシャ(Veronica undulata

こちらの白い花を咲かしているのが「カワヂシャ」です。
環境省カテゴリで準絶滅危惧種と指定されております。

ビオトープ内では、近縁種「オオカワヂシャ」(特定外来生物)の群生の中に
ひっそりと生えてる印象です。
カワヂシャを抜かないようオオカワヂシャを駆除するのは
なかなか神経を使います…

ママコノシリヌグイ(Persicaria senticosa

お次は「ママコノシリヌグイ」です。
ピンク色の金平糖のような花をしてかわいらしいですが
茎や葉に刺があり見るからに痛そうです(少し痛かったです)。

キキョウソウ(Triodanis perfoliata

ヒナキキョウソウ(Triodanis biflora

「キキョウソウ」「ヒナキキョウソウ」似たような種を立て続けに載せてみました。

写真では伝わりにくいのですが、葉の形が違いますね…

「似ている種」は身近にいっぱい溢れているので
よく観察してみてくださいね。
種の違いや名前が分かるだけでも世界の見え方が変わっていきますよ。

以上今田遊水地の植物紹介でした。
今田遊水地のビオトープでは300種以上の植物が見られるので
今回はほんの一部にしか過ぎません。

また見つけたら紹介させてください。

※園内の動植物の採取は禁止となっております。
※ビオトープ内の立ち入りは禁止となっております。